一貴、災難に遭う。の巻。

一貴は今年から熱帯魚の飼育を始めた。

1200mmの大型水槽と900mmの準大型水槽を購入。

飼育初心者にもかかわらずいきなり大掛かりな設備投資をした。
(何事も「 や り す ぎ 」が彼の真骨頂である。)

もちろん飼育する魚も金に糸目をつけず欲しい魚を買い漁っては
ドボドボと水槽に放り込んだ。

そしてついに禁断の「アジアアロワナ」を購入した。

アジアアロワナとは幼魚でも最低10万円はする高級熱帯魚である。

立派な成魚になると何十万、何百万もするのである。

一貴が購入したアロワナはアジアアロワナにしては破格の「4万円」であった。

毎日仕事とハードな練習を終えたあとに帰宅するとアロワナを眺めるのが
一貴のささやかな幸せであった。


―――しかし幸せな日々は長くは続かなかった―――


ある日、いつものように帰宅すると一貴は異変に気付いた。


―――アロワナちゃんがいない―――

慌ててアロワナを探す一貴。

どこかに隠れているのか!?いや、いない!!

水槽から飛び出してしまったのだろうか!?

どこだ!?

どこだ!!!!???



あ”ーーーーー!!!!!




一貴の視線の先に居たものは……ナマズ君であった。

お前!

何喰った!?

やりやがった。

2万円のナマズが4万円のアロワナを喰ってしまったのだ。


水槽の前でへたり込む一貴。涙目である。

世の中に「1品4万円」の食べ物を食べた人間が一体どれだけいるであろうか。

それをこのナマズはやりやがったのだ。

とりあえず会長に電話し、悲しみをぶちまけるしか一貴には成す術がなかった。

会長はただ、ただ、爆笑していた。


―――そして翌日、さらに惨劇が一貴を襲った―――


吐きやがった!

半分消化されたアロワナが出てきた……

これには一貴もアングリである。

なら喰うな!!

あースッキリ。

おしまい。